幾何公差

幾何公差の種類と記号、図示方法を記載しています。

幾何公差の種類とその記号

JIS B 0021(1984)より抜粋したものです。

形状公差

公差の種類記号公差域の定義図示例と解釈
真直度公差公差域を示す数値の前に、記号φが付いている場合には、この公差域は直径tの円筒の中の領域である。
円筒の直径を示す寸法に公差記入枠が結ばれている場合には、その円筒の軸線は、直径0.08mmの円筒内になければならない。
平面度公差公差域は、tだけ離れた二つの平行な平面の間に挟まれた領域である。
この表面は、0.08mmだけ離れた二つの平行な平面の間になければならない。
真円度公差対象としている平面内での公差域は、tだけ離れた二つの同心円の間の領域である。
任意の軸直角断面における外周は、同一平面上で0.1mmだけ離れた二つの同心円の間になければならない。
円筒度公差公差域は、tだけ離れた二つの同軸円筒面の間の領域である。
対象としている面は、0.1mmだけ離れた二つの同軸円筒面の間になければならない。
線の輪郭度公差公差域は、理論的に正しい輪郭線上に中心をおく、直径tの円がつくる二つの包絡線の間に挟まれた領域である。
投影面に平行な任意の断面で、対象としている輪郭は、理論的に正しい輪郭をもつ線の上に中心をおく直径0.04mmの円がつくる二つの包絡線の間になければならない。
面の輪郭度公差公差域は、理論的に正しい輪郭面上に中心をおく、直径tの球がつくる二つの包絡面の間に挟まれた領域である。
対象としている面は、理論的に正しい輪郭をもつ面の上に中心をおく、直径0.02mmの球がつくる二つの包絡面の間になければならない。

姿勢公差

公差の種類記号公差域の定義図示例と解釈
平行度公差公差域は、データム平面に平行で、tだけ離れた二つの平行な平面の間に挟まれた領域である。
指示線の矢で示す面は、データム平面Aに平行で、かつ、指示線の矢の方向に0.01mmだけ離れた二つの平面の間になければならない。
直角度公差公差を示す数値の前に記号φが付いている場合には、この公差域は、データム平面に垂直な直径tの円筒の中の領域である。
指示線の矢で示す円筒の軸線は、データム平面Aに垂直な直径0.01mmの円筒内になければならない。
傾斜度公差公差域は、データム平面に対して指定された角度に傾き、互いにtだけ離れた二つの平行な平面の間に挟まれた領域である。
指示線の矢で示す面は、データム平面Aに対して理論的に正確に40°傾斜し、指示線の矢の方向に0.08mmだけ離れた二つの平行な平面の間になければならない。

位置公差

公差の種類記号公差域の定義図示例と解釈
位置度公差公差域は、対象としている点の理論的に正確な位置(以下、真位置という)を中心とする直径tの円の中または球の中の領域である。
指示線の矢で示した点は、データム直線Aから60mm、データム直線Bから100mm離れた真位置を中心とする直径0.03mmの円の中になければならない。
同軸度公差または同心度公差公差を示す数値の前に記号φが付いている場合には、この公差域は、データム軸直線と一致した軸線をもつ直径tの円筒の中の領域である。
指示線の矢で示した軸線は、データム軸直線Aを軸線とする直径0.01mmの円筒の中になければならない。
対称度公差域はデータム中心平面に対して対称に配置され、互いにtだけ離れた二つの平行な平面の間に挟まれた領域である。
指示線の矢で示した中心面は、データム中心平面Aに対称に0.08mmの間隔をもつ、平行な二つの平面の間になければならない。

振れ公差

公差の種類記号公差域の定義図示例と解釈
円周振れ公差公差域は、データム軸直線に垂直な任意の測定平面上でデータム軸直線と一致する中心をもち、半径方向にtだけ離れた二つの同心円の間の領域である。
指示線の矢で示す円筒面の半径方向の振れは、データム軸直線A-Bに関して一回転させたときに、データム軸直線に垂直な任意の測定平面上で、0.1mmを超えてはならない。
全振れ公差公差域は、データム軸直線に一致する軸線をもち、半径方向にtだけ離れた二つの同軸円筒の間の領域である。
指示線の矢で示す円筒面の半径方向の全振れは、データム軸直線A-Bに関して円筒部分を回転させたときに、円筒表面上の任意の点で0.1mmを超えてはならない。

公差域の定義欄で用いている線は、次の意味を示してます。

・太い実線または破線:形体

・細い一点鎖線:中心線

・太い一点鎖線:データム

・細い二点鎖線:補足の投影面または切断面

・細い実線または破線:公差域

・太い二点鎖線:補足の投影面または切断面への形体の投影

最新更新年月日: 2023年6月23日
※ 本稿は21年6月時点の最新情報を掲載しています。